刀と包丁のこと

ちょっと物騒なタイトルですね(笑)。 でも安心してください。これは手のお話しです。武術の「手のかたち」には色々な表現があります。「あさがお」、「龍の口」、「たまごを握る手」や「小鳥を優しく抱く手」などがそうですが、それぞれの表現はちがっても、実は同じ状態を示しているように思えます。
はじめて包丁を握った時、意外と大きく感じた人は多いのではないでしょうか? ちょっと怖くて、緊張して柄をしっかり握ったことだと思います。でもしばらくたってお料理のレパートリーも増えたころには、ほどよく手の力が抜けて、包丁を通じて素材の固さや質感も、手に伝わってくるようになっていくと思います。


人の手は、とても繊細なセンサーです。 手で道具を使い、仕事をするために発達してきたのでしょう。 何かを感じて、そして何かを伝えることも大事な役目です。お料理のプロは、包丁の刃から伝わる素材の微妙な厚みやかたちを判断して、きれいなお刺身を仕上げます。そしてよく見ると、角度は違いますが、盛り付けるお箸を持つ手のかたちも、包丁を持つ手とほとんど同じです。


ここでちょっと試してみてください。 台所に行くのがめんどうならイメージだけでもいいですから、軽く「包丁を握る手」を作って、その手で「指揮者がタクトを振るように」目の前で大きくゆっくりと動かしてみてください。 なんとなくバランスが良くないでしょうか? そして、タクトを持つ手も同じかたちかも知れないと感じませんか? 実は、刀を握る手も同じことなんです。「包丁は小さな刀で、刀は大きな包丁」ともいいます。  どうしても「刀」が怖いと思うなら、棍(棒術の棒)のイメージでも大丈夫です。 がっちり握るのではなく、やわらかく、やさしく握ります。 手を開く時も、その手の中に小鳥がまだいるような意識を保って開きます。太極拳の開く手も、拳もおなじこと。 この手を使って「やさしい手」のワークを行います。 あ、太極拳の時は「中華包丁」のほうがいいかもしれませんね。

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